2017年9月29日 Posted by 編集部
時間とお金の自由を求めてフリーランスになろうとしている方も多いと思います。 でも、多くの方が失敗してしまいます。特に報酬に関する失敗によって、派遣エンジニアとして組織に属する働き方に戻ってしまう人もいます。報酬の失敗をしないためのアドバイスをこの記事ではさせていただければと思います。
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会社勤めの場合、上司が仕事の管理をしてくれます。でもフリーランスに上司はいません。自分自身が自分の上司にならなければいけないのです。誰しも自分には甘いところがあります。 「昨日は結構やったから今日はちょっと手を抜いてもいいかー。」「ここまでやろうと決めてたけど、友達からお誘いがきたから切り上げちゃおう。」など、いろんな理由を見つけては、仕事から離れようとしてしまいがちです。 結局、余裕のあった納期がどんどんきつい納期になっていき、納期前に徹夜続きになったりします。 フリーランスになったのは、時間をコントロールするためだったはずなのに……
フリーランスになるとエンジニアであると同時に、営業部門でもあり、IT部門でもあり、カスタマーサポート部門でもあり、管理部門でもあるような状態になります。会社という組織が複数の人たちで分担して持っている機能を、フリーランスは一人で担わなければいけません。 そしてその多くは、直接的な利益を生む活動ではありません。
エンジニアは時間を切り売りする商売なので、使える時間が少なくなればなるほど、収入が減ります。スキルアップのための時間を作れないことで、よりハイレベルな案件を請け負うことができず、高単価の仕事を受注することもできなくなります。
多くのフリーランスエンジニアが自宅を仕事場として利用します。そうなると、生活と仕事との切り分けができなくなり、常に働いている感覚によって疲弊しやすくなるというデメリットがあります。 自分でうまくメリハリをつけられればいいのですが、自宅は最もリラックスしやすい場所なので、自分の上司であるもう一人の自分もあなたに甘い言葉を発しやすくなります。
一番の問題がこれです。企業でエンジニアとして働く人の仕事は、常に会社にあります。でも、フリーランスになれば仕事を取ってくるところから自分でやることになります。クラウドソーシングなど案件マッチングのできるサービスも利用できますが、依頼主とコミュニケーションが必要という点では、それも営業活動と言えます。
案件が少ないとどんなものでも飛びつきたくなります。仕事を取るために、クライアントの言い値に合わせようとしてしまいます。そうすると企業で働いていた時よりも、低い時給で働いていることも少なくありません。 また、得意ではない領域の開発案件を受注してしまった時は最悪です。
経験の浅い開発案件だと、クライアントの期待に応えられるアウトプットが出せず、案件が炎上して無駄なコミュニケーションや調整に時間を取られてしまう事態にもなりかねません。時給換算するとかなり悲惨です……
なぜ、適正な報酬を得られないのか?その理由は、仕事をもらおうとするあまり、自身を過小評価してしまうところにあります。フリーランス初期は相場観がわからないので、相手が求めている額で承諾をしてしまいがちです。相手の言い値にしてしまうと間違いなく失敗します。
なぜならフリーランスのエンジニアに直接仕事を依頼しようとしている人は、できるだけコストを抑えたいと思っている人たちだからです。どういう作業があり、どういう時間がかかるのかを理解していない人も多く、その場合は不必要に低報酬での受託を要求されます。
企業勤めをしていた時の給料とその時に費やしていた工数から、実績ベースの時給を算出してみてください。まずはその時給と工数から基本の報酬額を設定します。 そして、開発以外にかかる工数もあるので、それらを積み増します。
例えば、打ち合わせや情報の整理などディレクション業務も含まれてきます。それらを元に算出した費用が、あなたの受け取るべき下限の報酬になります。なので、これ以下の報酬で依頼があれば断るようにしてください。案件自体に魅力があるとか、取引先として魅力があるなど、今後の役に立つ案件であれば、投資の意味も込めて受けることがあっても、それはそれで良いと思います。
次に、クライアントが依頼しようとしている開発業務の相場を調べます。開発会社へ問い合わせても良いですし、知り合いが開発会社にいれば相談してみてください。その上で、企業と個人という信用の差を割り引いた金額を提示してください。それでも十分に先ほど設定した下限報酬よりも高い金額になると思います。
比較対象があれば、あなたの提示した金額が妥当かどうかをクライアントが判断しやすくなります。あとは、信用の無さを補填するための割引額の妥結点を、クライアントとすり合わせしていけば良いと思います。
開発のゴール、仕様、納品物、期間。これを明確にしておかなければ、いつまで経ってもプロジェクトの終わらない案件になりがちです。特に開発業務をよくわかっていないクライアントだと、段取りを無視して開発工程の途中で要望を次々に出しているケースもあります。 誰も助けてくれないので、自分で案件を受ける時に、何を・いつまでに作るのか、どういう成果物に対して、どういう報酬をいただくのかを明確にしておいてください。
仕事が欲しいから何でも手を出していると、開発業務以外の工数もかかる分、企業エンジニアをしていた頃よりも、時間とお金の自由がなくなります。 そうならないために、報酬の基準を持ってクライアントと交渉する姿勢を持つようにしましょう。