2018年8月27日 Posted by 編集部
フリーランスのうち、法人設立していない人は全て個人事業主と思いがちですが正確には違うことをご存知でしょうか?個人事業主は税務上の区分であるのに対し、フリーランスは単に働き方を指しています。
個人事業主になるためには開業届というものを税務署へ提出する必要があります。つまり、フリーランスのうち開業届を提出していない人は、実は個人事業主ではありません。広い意味で個人事業主と呼んでも問題ないと思いますが、正確には違うことを知っていて損はないでしょう。
では、個人事業主になるための「開業届」とはどのような書類なのでしょうか? これから個人事業主になる人、なりたい人は、ぜひ開業届について知っておきましょう。
開業届は税務署へ提出するための書類で、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。新たに事業を開始する際に必要な手続きで、事業を開業して1ヶ月以内にこの書類に記入して税務署へ提出します。
期限内に提出しなくても特に罰則があるわけではありませんが、個人事業主として新しい門出という意味でも早めに済ませるのがいいでしょう。
開業届の様式は国税庁のサイトからダウンロードができます。他には税務署の窓口にも用意されています。記入方法についても下の国税庁のサイトに例が載っていますので参考にするといいでしょう。
個人事業の開業・廃業等届出書(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
フリーランスのうち開業届を提出していない人も意外と多くいるようなのですが、開業届は提出した方が良いのでしょうか?次は開業届を出す必要性、メリットをみていきましょう。
開業届を出すことでどのようなメリットがあるのでしょうか。大きく分けて3つメリットがあります。
1. 開業届とともに「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで青色申告をすることができるようになります。
青色申告の特典として、まず65万円の特別控除が受けられます。これだけでも充分大きいと思いますが、他にも、家族への給与を全額必要経費にすることができます。ご家族に経理をしてもらうなど、事業をサポートしてもらう場合などに大きなメリットとなります。
2. 1と同じく「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておくことで、赤字を3年間繰り越すことが可能です。例えば、今期黒字で前期が赤字だった場合に、前期の赤字を今期に繰り越すことが可能です。そうすることで今期支払う税金を抑えることができます。
事業を初めて間も無い時期は収入が不安定になりがちです。是非活用したい制度です。
3. 屋号で銀行口座を作ることができます。新しい事業を始めるにあたって、個人用と口座を分けたい人もいるかと思います。口座の収支をみたい場合には分けておいた方が明確ですし、取引先にも屋号である方が認識されやすいでしょう。
以上が開業届を出すメリットです。
やはり1と2の節税効果が大きく、収入がずいぶん変わってくるかと思いますので開業届を提出する方が良いでしょう。
それでは開業届を出した場合にデメリットはあるのでしょうか? 念のため押さえておきましょう。
会社を辞めたあと失業保険を受ける予定の人はご注意ください。開業届を提出すると「仕事をするぞ」と宣言しているようなものなので、失業保険は受けられなくなる可能性があります。
失業保険を受ける予定の人は、受け取りが終わってから提出するなど、時期を見計らって開業届を提出するのが良いでしょう。
開業届をだすことで気をつけなければいけないデメリットは失業保険が受けられなくなるくらいで、もともと受けるつもりの無い人には、デメリットはほぼ無いと言ってもいいでしょう。メリットが大きいので早めに出しておいた方がいいでしょう。
開業届についてメリット・デメリットをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。フリーランスのうち手続きが面倒という理由で開業届を出していない人は意外と多くいるようです。
しかし、今回ご紹介したように大きな節税効果が得られる開業届を提出しないという選択は、フリーランスとして働いていく上で、とても勿体無いのではないでしょうか。
既に長くフリーランスとして働いている人でも開業届は出せますので、これからフリーランスになる人、既にフリーランスとして働いているけどまだ提出していない人は、これを機会に開業届を税務署へ提出しておくことをオススメします。