2018年5月23日 Posted by 編集部
確定申告は、個人事業主として働くフリーランスの毎年の悩みと言える存在。そんな確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があって、どちらかと言えば青色申告の方が推奨されています。どうして青色申告の方が良いとされているのか、また、青色申告にするならどのような手続きが必要になるのかを見ていきましょう。
確定申告について調べてみると、どこでも青色申告ばかりが勧められていますよね。青色申告と白色申告の主な違いは、「手間」と「節税」です。手間がかからない代わりに節税できないのが白色申告で、手間がかかるけれど節税できるのが青色申告。
青色申告は白色申告に比べると提出する書類が多かったり、複式簿記で帳簿をつけたりといった手間がかかります。
ところが青色申告は「青色申告特別控除」と言って、最大で65万円の特別控除を受けることができるのです。白色申告は手続きが簡単である代わりに、このような控除はありません。
年間65万の特別控除があるだけで、納めるべき所得税額が大幅にダウンします。人によっては白色申告を青色申告に変えるだけで、10万円近くの節税に繋がることも。
また青色申告の場合にのみ、赤字となってしまった損失を3年にわたり繰り越すことも可能。稼ぎに波のあるフリーランスだからこそ、赤字を繰り越すことで翌年以降の税負担を軽くできるのは魅力的ですよね。
多少の手間がかかっても節税面での恩恵が大きいからこそ、青色申告の方が多くの人から支持を得ているのです。
青色で確定申告をしたければ、「青色申告承認申請書」という書類を提出する必要があります。提出期限は確定申告を行う前年の3月15日まで。まずは税務署や国税庁のウェブサイトから、青色申告承認申請書を入手しましょう。
青色申告承認申請書を提出しないと、せっかく頑張って青色申告の提出書類を用意したとしても、税務署に受理してもらえないので要注意!
用紙を入手したら、後は必要事項を記入していけばOK。「税務署長」の欄には今後の確定申告を行う税務署名を、「屋号」には開業届に書いた屋号をそのまま記入してください。もしも屋号を決めていなければ空欄で構いません。
簿記方式は「簡易簿記」なら最大10万円、「複式簿記」なら最大65万円の特別控除が受けられます。節税したければ複式簿記を選びましょう。
「備付帳簿名」の欄は、使用する帳簿に○印をつけてください。複式簿記なら「総勘定元帳」と「仕訳帳」は必須。後は必要に応じて固定資産台帳などにも○をつけておきましょう。ちなみにここで○をつけた帳簿を使わなかったとしても、何も問題はありません。
記入を終えた申請書を税務署に持って行くか郵送で税務署に提出すれば、青色申告の手続きは完了!次回からは青色申告で節税できますよ。
もちろん提出したからと言って、絶対に青色申告に変えなければならないという義務はありません。ですから「青色にしたいけど迷っている状態」という人は、申請書だけ提出しておくのがおすすめ。申請書さえ提出していれば、好きなタイミングで青色申告に変えられます。
白色申告よりも手間がかかることで敬遠されがちですが、青色申告も手順自体はそこまで複雑ではありません。白色申告と同様に、自分の行った取引を整理して提出書類を作成するだけ。
青色申告に必要な書類は、「確定申告書B」と「青色申告決算書」です。青色申告決算書は計4ページで、1ページ目は「損益計算書」・2~3ページ目は「損益計算書の内訳」・4ページ目は「貸借対照表」となっています。
もしも簡易簿記による青色申告なら、貸借対照表の提出は必要ありません。複式簿記で日頃のやり取りを記帳している場合なら、それを元にして貸借対照表を作成する必要があります。
白色と青色の大きな違いは複式簿記をつけることです。複式簿記の特徴は日頃の取引を「現金」や「商品売上」といったように、決められた勘定科目で処理するところ。
勘定科目や記帳の方法が小難しく見えるだけですから、やっていること自体はそこまで複雑ではありませんよ。必要な提出書類に必要な情報がまとめられてさえいればOKです!
仕組みを覚えればそこまで難しくはない複式簿記ですが、簿記や経理の知識があまりない人にとっては、少々ハードルが高く感じられますよね。
もしも複式簿記で帳簿をつけるのが難しければ、会計ソフトの力を借りてみましょう。ソフトを使えば難しい知識がなくても、簡単に複式簿記で帳簿をつくることができます。
青色申告のできる会計ソフトとして有名なのは、「MFクラウド確定申告」や「やよいの青色申告シリーズ」、「freee(フリー)」ですね。この3つはどれもクラウド型のソフトですから、OSを選ばずにブラウザ上で取引を管理できます。Macの人もWindowsの人も安心。
会計ソフトのほとんどは、取引のあった日付と金額、それから取引の種類を入力するだけで帳簿を作成してくれます。中には、預金通帳から自動でデータを取得し、預金取引を帳簿にしてくれる機能のあるものも。
ほとんどのソフトは年間で12,000円程度のコストがかかりますが、白色から青色に変えた際の節税分で十分にまかなえる額です。
節税はしたいけれど難しいことは分からない…という人は、ぜひソフトを使って青色申告を始めてみてくださいね。
なんだかややこしいイメージの青色申告も、蓋を開けてみれば意外と簡単に済ませられることが分かったのではないでしょうか。ソフトを使って青色申告をする場合なら、白色申告とほぼ同様の手軽さで済ませられますよ。
あらゆる出費を全て自分で管理するフリーランスだからこそ、節税は大きなメリットです。やって損することは一つもありませんので、次回、もしくはその次の確定申告からは青色申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?